秋の羅刹/ヴィリウ
は居ない。
小さな石は貴方ではない。
其の下に眠るのは、貴方であった貴方であって、貴方である貴方ではない。
御免なさい。
今は未だ、私が其の凡てを懸けた貴方の不在を、受け容れられないのです。
御免なさい・・・。
あの頃の私は、あの場所にさえ行けば、何時か貴方に会えると本気で思っていました。
抱えきれない花を敷き詰め、黒く光る小さな墓石を抱いていれば、何時か貴方が帰って来ると。
頑是無い子供の様に、頑なに信じていた様に思います。
嗚呼、秋が来ますね。
貴方。
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