幸福のデッサン??デッサン/前田ふむふむ
 
繰り返される福祉が、
新しく歓迎の声を受けて――、
福祉は、いくつもの、与えられた菓子を食べる。
なかには、埃を被っている、
国民精神総動員要綱も、
    遠くに、ちらついて揺れている。

埋立地の産業道路を、通信簿の優秀な◎をつけた、
大型トラックが、ごみ処理場にすすむ。
騒音を上げるたびに、一房の飢餓が、こぼれおちる。
その吐いた息が、静かに、
夏の精気を逞しくした地図の、きみどり色の囲いをはずして、
平地を、薄茶色に染めている。

海を忘れた母の実家に接続する神社には、
いまも、海のにおいがする。
境内では、夥しい巻貝、二枚貝が、
地面に、はめこまれていて
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