パラソル/小川 葉
 
られて
父親までもが食卓を捨てて
焼きそばに行ってしまい
気づけばパラソルの下に
二人の女が残り
どちらからということもなく
とりとめのない
女同士特有の
無意味なおしゃべりが
真夏の砂浜の
パラソルの下
ちゃぶ台をかこんで
意味を構築しはじめる
しばらくして
父親と子供たちが
焼きそばを運んできても
気にすることもなく
女同士のおしゃべりは続き
いつしかそこは
家庭と呼ばれる場所に
なっていた
それ以来
パラソルは
二人の女の肌を
強固に
守り続けてきた
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