容器の中の夏/A道化
 
返しではないと妄信することで やっと
夏を受け取れる生き物が いる


何かに思い当たりそうな瞬間には 
夏の発熱を用いて
体温から順に有耶無耶にすることで
最初から誰もいないように陰ろうアスファルト
嘗てから誰もいたことがないように白むアスファルト


そこでなら 自ら眩んで
夏を 無視できる
そのようにして
有耶無耶になった空の容器は やっと
夏を 受け取ることができる



2004.5.18.
戻る   Point(11)