野畑〜生えた先の双葉/鯨 勇魚
らないけれど
あたしは眼がさめて
夢だよとあんしんは
まだ明けきらない
朝焼け無しの
水の音
しらない男の子が
誰?て聞くのは
まだ 夢の中だろうと
あかんべぇをして
から細く蔦を巻いて
全滅した他者という蚕
すきなのよ
だきしめてくれます
どれも夢で脱色された
今も夢のふところ
相対的な現実で
また眠りによりそいます
そして
種だったはずのきみには
変化をそして
あたしには
芽が生えはじめていました
無造作にちぎってしまう
真っ白い
病棟の廊下に
万年筆で爪を入れるように
引っ掻くのは痛いの
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