ある日のわたし/三条
 
な子供ではいられないのだ。理解されないことを最上のルールに決めて、世界の影を踏むことをミッションにする、そんなスパイごっこはもう仕舞いなのだ。

猫の声も聞こえなかった。



風は走り去って、日の光はどこか別の世界の出来事のようにしてわたしをすり抜けていった。雲の流れが速い。



わたしはこれから、冷笑を捨てて、無様な程に希望を探すのだろう。普通を恐れないで、這うように幸せを追うのだろう。



また風がざぁ、と走り抜けた。




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