好きな詩/楢山孝介
 
ことに影響を受けている
自分の書いたものを好きにってしまうということは
何かから無意識的に影響を受けた、
「好み」の寄せ集めでしかなくなってしまった作品を
それで良しとしてしまっているのだ
そうして出来上がったものは
具体的に作品名をあげられなくても
どこかの誰かが
既に書いていそうなものに見えてくる
書き上げた直後はそれに気付かない

だからといって
今まで読んだことのないような
これまで思いついたことのないようなものばかり
書こうとしてもがくと
苦しみ過ぎて寿命を縮めて
死んでしまいそうになるので
何かからの影響が顕著なものは
後で大幅に書き直す、といった程度に留める

だからといって
自分の好みから離れた作品が
いいものになるとも限らないので難しい
今のところまだ
僕の書いた詩がどこかの国の言葉で
翻訳されたという話も聞こえてはこない
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