ちゅん/shu
 
ひっそり森の奥で死ぬんだよ
自殺してんだよ
お医者さんなんていないからね
あたりまえのように目を閉じて
地面にゆっくり顔をつけて

鳥は空を飛ぶとき優越を感じてるか?
そうじゃない
ヨタカは太陽に向かって飛んで死ぬのか?
そうじゃない
夢や希望もない
ただ生きることがすべてて
ただ在ることがうれしくて

うれしくて怯えて飛んで怖がって跳ねて戯れて羽ばたいて
スズメのチュンは死んだよ
まるでひとのように

だから

ちゅん

おまえも小さな涙を
抱えていたね

おれの手のひらにあったぬくもり
口をあけてなにか言いたげに静かに目を閉じたチュン
レンゲの咲き乱れる畑で
おまえのいのちが


なんて軽い



ちゅん

おれもいつか羽ばたいて

どこかの土のうえで
だれかの手のひらで

たんぽぽの綿毛のように





戻る   Point(8)