ちゅん/shu
ひっそり森の奥で死ぬんだよ
自殺してんだよ
お医者さんなんていないからね
あたりまえのように目を閉じて
地面にゆっくり顔をつけて
鳥は空を飛ぶとき優越を感じてるか?
そうじゃない
ヨタカは太陽に向かって飛んで死ぬのか?
そうじゃない
夢や希望もない
ただ生きることがすべてて
ただ在ることがうれしくて
うれしくて怯えて飛んで怖がって跳ねて戯れて羽ばたいて
スズメのチュンは死んだよ
まるでひとのように
だから
ちゅん
ね
おまえも小さな涙を
抱えていたね
おれの手のひらにあったぬくもり
口をあけてなにか言いたげに静かに目を閉じたチュン
レンゲの咲き乱れる畑で
おまえのいのちが
なんて軽い
ちゅん
おれもいつか羽ばたいて
どこかの土のうえで
だれかの手のひらで
たんぽぽの綿毛のように
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