灯り/山中 烏流
 
夕闇に
小鳥が影を落とす頃
灯りが灯り始める
家々
 
眠たげに瞬いては
輝くその灯りに
吸い込まれるかのように
人々は
家へと足を向ける
 
 
灯りに向かって
話しかけている人がいた
その人は今日あったことを
全て話し終えると
やっと家へと
入っていった
 
逆に
灯りの話を
聞いている人もいた
話が終わったあと
何かを灯りに言ってから
家に入っていった
 
 
私の家の灯りは
もう幾年もついていない
そのことを思い出して
つけてみることにした
 
灯りは美しいままで
小さく瞬いたあと
一言
おかえり、と告げた
 
 
私は一つ
長い溜め息をついたあと
 
苦笑いを浮かべながら
そっと
囁くように
 
 
ただいま、と
 
呟いた。
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