哀しみ皇子(7)/アマル・シャタカ
 
鏡のない二人だけの世界
なんていう駅にぼくは降りた
いつも思うけど
哀しみ本線の駅名は不思議な名前が多いの
駅でおトイレにいってみたんだけど
鏡はなかったね
なんでだろ?

手の中では哀しみが鼻歌を歌ってる
こいつに鼻があるとはぼくにも思えないけどね

男の人がいる
すいませーん
「ん?・・・こんな何もないところに、珍しい」
男の人はそういう
えっと、ぼくの名前は・・
「哀しみ皇子なんだってな、よろしく」
うーん、この人もぼくの名前をしっている
なんでだろう?まあ、いいや
よろしく、お名前はなんていうの?
「俺か?俺には名前なんかない・・・いや、必要ないから
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