断崖の花/あずみの
絶壁のコンクリートの僅かな隙間に
いのちを宿した君たちは
迷うことなく天を目指して
もう背丈よりも大きくなった
直角に身体を曲げて上へ上へ
ひたすらに迷うことなく
君たちは目指すべき方向を知っていた
やがて朽ちて枯れるまで
留まることなく天に向かって伸びるのだろう
迷ってばかりのわたしとは大違いだ
どちらが前でどちらが後ろかも
もう分からなくなってしまったわたしに
君たちの姿は羨ましくも輝かしい
人が断崖の花に惹かれるのは
そこに迷いのなさを見るからかも知れぬ
戻る 編 削 Point(3)