水のこと/一般詩人-
水がうろたえていた
「レセプタがないから、レセプタがないから!」
額から汗がぽたぽた落ちて
やり場に困ったように腕が
頭を抱えるそぶりを見せたり
突然ひきつけを起こしたように首が
一般的にありえない方向に曲がったり
なんだよレセプタって
光の帯が見えるくらい暑いね
「うん、夏痩せしちゃうね」
それ以上語ることがなかったので
道を譲った
汗だくなのに不思議と臭気がしなかったが
飲めそうな水でもなかった
俺にはわかる
水はこの夏のうちに揮発するだろう
このハレーションの回廊で
それから長い時間かけ
地球をぐるりと一周し
大海原の入道雲だって
子供が夏休みの思い出に絵を描く
水はそうしてめぐっていく
幸せに
幸せに
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