海の父、海の母/桜井小春
かな
温かな光
を。
私は最後の力をふりしぼって
その光の元へ。
ああ
やっと
会えた
ね。
全身で
あなたの光を浴びる。
すると
私の姿は港になり
右耳のすぐ横に
あなた。
回る
回るよ
夜の太陽。
歌う
歌うよ
海の歌。
私たちは今
二人で海と船を守っている。
纏うものなど何もなくたって
微笑みを交わすことが出来る。
やっと悟った。
ほら
また帆船が一隻
あなたの光に導かれて帰ってくるよ。
私は両腕であの船を抱こう。
我が子のように。
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