キッチン/小川 葉
 
雨をふくんだ地面が
静かに沸騰して
おいしいものが
出来上がるそこを
夜明けを待たずに
ぬかるみながら歩く
無意味を信じて
無意味な逃避をして
正しいつもりになって
砦の先はるか遠く
立ち入ることを
禁じられたその地へ
意味を見つけに行く
あなたの匂いがしてきたら
失ってしまう前に
早く帰りたかった
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