じしつ/山中 烏流
静寂が
哭いている、部屋の
隅っこで
うずくまっている
返らない電波を
無意識に、待ち望みながら
瞼を引っ張る睡魔と
戦う
汚れを知らぬ
白い壁に包まれて
私は寝転がる
床に、耳を添える
一枚を隔てた世界で
何かが聞こえたとしても
私がそこに
混じる勇気は、ない
小さな
息遣いだけが、
聞こえている
それはきっと
私のものであり
違うのかも
しれない
(ひゅう/ふう
(ひゅう/ふう
磨り硝子の窓は
怪しく
光を反射しながら
私の目を
しっかりと、見据えて
私に分からない言語で
話し掛けている
頭が混乱する前に
つい、と
目を逸らして
天井を見上げる
まだ、静寂は
哭くことを
やめようとしない
扉はまだ
開かないで
いる。
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