透明な朝に/マッドビースト
葉はどれも光っていた
雨粒は露になって残り
雲の向こうの空のずっと高い向こうの
姿の見えない太陽の光を集めていた
雨あがりの空気は澄んでいる
埃だとかスモッグだとか
日ごろ纏わりつくいやなものは湿って
地面に転がっていた
空気は
耳の中から入ってきて
僕を冷やしてくれる
昨日の夜の思い出もきれいにしてくれる
どうしてあんなに焦っていたのだろう
どうせ雨なのだからと思って
鳥もまだ眠っている
休日の人ならなおさら
なんの音も聞こえないこの透明な朝は
僕だけのものだ
光ながら表情を変える露が
音
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