タンデム/haniwa
バイクを買って一年が経って
初めて後ろに乗せるのは彼女がいいとかなんとか
妄想していたのに結局
バイト先の28歳のおんなのこを乗せている
今日も一号線は真夜中です
28歳のおんなのこはしこたま酔っぱらって
カラオケ楽しかったね
今度海にいこうね
花火もしようね
バーベキューもしよう
それを 繰り返す
タンデムシートにはいつもバイトで使うための履き古したサンダルをくくりつけている
今日はそれがよく喋るのです
きみたちの 夜が
きみたちのものであるように
俺たちは料理を作り 運ぶ
年金なんて払いたければ払え
空白のタンデムに
それでも 期待することをやめられない
あと8歳若ければ
消えた彼女と同じ歳のおんなのこは
泣いているのかもしれない
でもWRsのエキパイと
背中にしょったリュック
おんなのこが
泣いているのか笑っているのか
タンデムシートだけがしっている
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