約束/
乱太郎
さようなら
なんて
言わないはずだったのに
さようなら
ふたりで作った
桜のしおりは
あの日以来 挟んだまま
日記には
もう あなたのことを
書き記すことはないだろう
それでも
そよ風にふれたとき
あのころが
運ばれてくる
優しかった昼と夜
陽気だったアスフャルトの道
いまはもう
涙をこぼす季節は過ぎて
ただ
たったひとつ
公園の木に刻んで
もし
見つけたら読んでください
ありがとう
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