猫缶/水町綜助
朝になって
公園の湿った土の上に突っ伏していたんじゃないか
雨が上がってむかえる朝のにおいは
ひやりとした黒い土のうえ
収斂していく類のもので
奥に深く潜っていく
噎せ返る速度ににて
体の中に固く黒い毛並みの猛獣を飼っている
その
ようで実は描かれた
かわいらしい
黒いまなこの
がおうとなく
ぬいぐるみ
それをいまだ突っ伏して人差し指でつついてくるくると回せば
やっぱりがおうとなく
鳴くよこれ
仕掛けだよ
つくられた
わざわざ
ぜんまいを巻く種類の
やつだ
それを
巻いて
ぱっと手を離して
動き回るのを見ている
鳴いているのを口を開け
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