哀しみ皇子(5)/アマル・シャタカ
 
子で俺は嬉しかったよ
本当にありがとう」

ありがとうって、ぼくは何もしちゃあいない
それをいうのはぼくのほうだ
屋根の上に哀示美鳥がいて、こちらを見てる
めずらしく、なかない
そういえば、手の中の哀しみも、すやすや眠ってる

ベルがなった
列車が出るんだ
わかったよ、オジサン、ぼく考えてみるから!
そしたら、また、ここに来るから!
それまで、それまで・・・・
また、来るから!

ぼくは窓から一生懸命に手を振った
涙が飛行機雲のように尾を引いたよ
ぼくはどうして哀しみ皇子なんだろう
列車に並んで、哀示美鳥が飛んでいたよ

とうさん、かあさん
ぼくはまだ、旅をつづけるよ
オジサンと約束したから
変な人のいったとおり
ぼくは何もしらない
だから・・・

また手紙書くから


「えー、次の停車駅はー
鏡のない二人だけの世界
停車駅はー
鏡のない二人だけの世界
停車時間は
二人の時間思い出のアルバム〜

二人の時間思い出のアルバム〜」

車掌さんの声がした

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