冷たい春/ロリータ℃。
透明な青い海を
濡れるのも構わず私はかきわけた
海の先には 知らぬ土地があるのだろう
無力な私でも
行きたいと願う夢だけは与えられた
あなたはそんな私を無様だ、と、笑っていたね
唇にセブンスターをくわえながら
嘲笑して私の首を絞めた
誂えた黒いシャツは
濡れて乱れて無様な布になる
今日はとても風が強くて温かいから
問題はないのだ
私は水面の上でゆがむあなたの顔を見た
そんなに必死な顔をしていたら
綺麗な顔が台無しなのに。
セブンスターはいつの間にか流れていた
逃げ出せなかった私はせき込む
これで少しは
変われたかな
あなたは
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