妄想世界朗読旅行・ニース〜フランス編(南フランス鉄道)/馬野ミキ
 
結局ここまで21人の女の子と付き合い同じだけ別れた
俺は気にいった赤ワインを何本か手にしていた
皆、個性的でチャーミングだった
どの子も自分の人生を目一杯に楽しんでいるように見えた
残念だったのはどの女の子ともセックスで失敗したこと
俺には性に対するトラウマが多すぎた
ようはアレが役に立たなかったのだ。

俺は車窓から顔を出して南フランスの田園風景を見ていた
自分が世界の車窓からの撮影スタッフとして人生を送っていることを想像した
踏み切りのところでキャンバスとパレットを持った若者が突っ立っている
画家の卵といったところか
何年後にあいつもパリに来るのかも知れ
[次のページ]
戻る   Point(9)