Perfume/shu
子供の頃、よく川原で遊んだ。
鶴見川というあまり綺麗ではない川だった。
それでも当時は葦原が続き鷺や千鳥や様々な鴨たちが羽を休めていた。
その葦原でどこの小学生かわからない女の子と遊んだ記憶がある。
なぞなぞをしたりかくれんぼをしたり、まるで昔から知っているように
妙に気が合った。名前など聞かなかった。
ふざけながらもつれて葦原に倒れこんだ時、幼いながら胸が熱くなる
ような初めての感覚に眩暈をおこしたような気分になった。
彼女はおもむろにポケットから何かを取り出した。
「これ、なんだかわかる?」
くすっと笑って彼女は薄紅色の小瓶を握ると、胸元にふりかけた。
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