哀しみ皇子(4)/アマル・シャタカ
 
だから、海に行ったら舐めてごらん、涙の味がするからさ」
じゃあ、オジサンは海があれば、宝石をいっぱい作れるんだね
「無理だよ、皇子
言ったろう?優しさが加わらないと涙は宝石にはならないのだと
いや、そもそもこの星はすでに宝石なんだよ」

じつはオジサンは、本当はすごい人なのかもそしれない
哀しみがオジサンになつくのも、ちょっと悔しいけどわかる気もしたりしなかったり
オジサンの口から飛び出した音符が踊っている
なぜかぼくにはそれが、(シミジミ〜シイジミ〜)と鳴く、哀示美鳥の声に聴こえた

でもさ、オジサン
海ってさ、液体とかいうやつじゃない?
だからさあ、宝石って言えないん
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