花/小川 葉
弱者が団結して自由の旅に出る
自由を目指したはずの道中にも社会は生まれ
不自由もまた生まれる
強者がいた時よりもっと厳しい社会
強者がいた時よりもっと強固な不自由
信仰を失うにつれ
個人は今以上の自由を模索し
欲望もその時はじめて開花する
醜い花は枯れることを忘れたまま
みずから枯れてしまうだろう
弱者は弱者なりに
生きがいを持てていた時代が終わって
野原は醜い花だけとなったようだ
いや
弱者は弱者なりに
生きがいを持てる時代は
まだはじまってはいない
強者と弱者というものさしさえ
枯れることを忘れた
醜い花のようなものなのかもしれない
このところ私たちは
花壇に規則正しく植えられた花よりも
道ばたに一輪咲いている蒲公英に
心奪われる傾向がないだろうか
綿毛になって羽ばたいてゆく蒲公英に
人生の到達点を感じたことはないだろうか
革命の誕生を待つよりも
何かを生むことで変わる自分を
信じることはできないだろうか
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