壊す/蒼木りん
その日はいつも不幸だった
あの時期と重なっていた
分泌物に支配された
私の脳は
ときどき我を忘れて暴走する
きっかけは
あのデジタルの時計の
『カチッ』
っという音
マッチを擦るように
ヒステリーは突然火がついて
大事な物さえ
叩き壊そうとする
人殺しなんて
いとも容易く出来そうだ
『わからない・・わからない・・わからない!!!』
私の感じたことを言えというの?
私に何を決めさせようというの?
恐ろしいことを口にだしてもいい?
『い や だ』と首を振ってもいい?
『いい? いい? いい!?』
髪をかき乱して
むきだしの肌は冷たくなって
鉛になった脳みそは
両の目から流れ出す
あなたの困惑した顔を
下から見上げたとき
口元から
「ふふふふっ・・・」と
笑いが漏れた
胸の奥で
縛られたもうひとりが
泣いた
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