星空/円谷一
眠っている時 港から船の汽笛が聞こえた 潮の香りが酷い
白で統一された僕の部屋は洗練さで満ちていて 読みかけのトルストイの「戦争と平和」の文庫本が潮風に吹かれてパラパラとページを捲る 水差しが透明に光っている
僕はポロシャツを着て車に乗り込み近くの山に向かって死んだインコを埋める インコは眠るように死んでいた 土をかける時 土に紛れて見たこともない虫達がインコの体を這っていた インコはゆっくりと腐っていき そして虫に食べられバクテリアに分解されるのだろう
僕は埋葬が終わると(火葬屋に頼めばよかった) 車で僕の住んでいる港町に戻って 遅めの昼食兼夕食を取りにパスタ屋に入った 空はもう真
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