再会/小川 葉
きながら語っていると
とつぜん画面にノイズが走り
映像がぷっつりと途切れてしまった
自動販売機の友人が酔いつぶれて
ソファの上で眠ってしまい
スイッチが切れてしまったのだ
私は急に喉が渇いてきて
せっかくだから
友人に百二十円を投入し
今、売れてます!
と、表示されてある
缶コーヒーをひとつ買った
ロイヤルスペシャルブレンドという
うそみたいな名前の缶コーヒーは
きわめて厳しい味がした
売り切れの赤いランプをいくつか点し
しずかに寝息をたてて眠る友人を
コーヒーを飲みながら見ていたら
なぜだか知らないけれど
涙があふれてきた
朝、目を覚ますと、友人は
すでに仕事に出かけてしまっていた
置き手紙とともに、お礼にと
ロイヤルスペシャルブレンドが三本も
テーブルに置かれていた
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