再会/小川 葉
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している
ああ、これね
と言って友人は
テレビのようなものを巻き戻し
中学の卒業式を再生した
まだ子供だった頃の私と友人
そしてたくさんの懐かしい人たちが
テレビのようなものに映っていた
担任の教師が二人に
これから人生は
今よりもっともっと
きわめて厳しいものになるけれども
とにかくあきらめず
がんばれ
私が見守っている
いつまでも応援している
卒業おめでとう
などと、泣きな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)