漆黒の果樹園/鈴木カルラ
果樹園では、幹、枝と葉が、そこで激しく実を結んだ果物さえも漆黒の色をしている。
そのように漆黒の色がそれらを魅了させる。
夜陰の闇がそうさせるのか、いや違う、空は蒼く、一片の雲でさえ赦さない。
いかなる暗がりであれ、闇であれ、光を理解不能として消滅を誓うのだから。
なのに、どのような漆黒の色が、虜となった果樹園の木々が光を理解するのか、理解されたとすれば光は漆黒の影としてその勤めを果たすに違いない。
地面に落ちる漆黒の影が、漆黒の幹、漆黒の枝、漆黒の葉と漆黒の果物とが、混ざり合う。
そして、それが地面に覆ったとしても、太陽の光を注がなければならない。
果樹園の木々は光の理解者あり、簒
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