少女/智鶴
白いワンピースが揺れていました。
荒れ狂う怒号と崩れる瓦礫の山の中で、
白いワンピースが揺れていました。
もう動くものの無い街を照らす太陽が、
真上にまで移動して、
少女のうなじを焼いていた。
少女はまるで、
全てを知っているように
全てを知っているように
歩く。
わたし、あなたをゆるします。
あなたをゆるします。
だって、そんなにも傷ついて、
貴方にも、守るものがあるのでしょう?
愛するものが、あったのでしょう?
だってそんなに綺麗な目をして、
人を憎むことなんて、
到底出来やしないもの。
ね
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)