あらゆる方向に無限大/rabbitfighter
 
僕達は歩いてやってきた。
今日、この瞬間を共有するために。
ラジオからは素敵な音楽が流れていた。
ジョンレノンが歌ってる。imaginだ。
小さなポータブルラジオを囲んで、みんな泣いていた。
短波放送は、大陸をこえてやってきたに違いない。
なぜならその歌は、この国で歌われるにはあまりにも優しすぎたから。
地下室の廊下を伝わって、誰かがキーボードを素早くたたく音が聞こえた。
地下を這いつくばるのは重たいケーブルたち。
意識は、指先で記号に変換され、それらはケーブルを光速で走り、
液晶画面上に飛び上がり、それらはまた光速で僕の意識の中に飛び込んでくる。
いくつかの選択肢の中から僕
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