赤い月赤い心/クロイソラ
ふと見上げると、赤い空
異常に赤いその月は、何かに反応している
こんな日に限って満月だ
三日月だったら気付かないのに
そんな時彼女からの電話がなる
この電話だったのかと身を震わせ、取るのに躊躇する
『もしもし…』
ふと見上げると、その赤い満月は
赤い涙を流し、泣いていた
なぜ気付かなかったんだろう
三日月の時から赤かったその月に
なぜ
満月になるまで気付かなかったのだろう
気付かされるまで気付かなかった
僕の心を少しづつ赤く染め上げているその姿に
『ごめんね』
僕の目から赤い涙が零れた
何を言っても止まらない
意味を重ね合わせた言葉には赤い侵食を止める事が出来なかった
いくつもいくつも意味を重ね合わせてみても
その赤い涙は止まらなかった
そして心が真っ赤に染まった
頭は真っ白に染まり、心は真っ赤に染まった
意味や理論、概念、感性
全てを通り越し
『ありがとう』
ふと見上げるとその満月は美しい月の色に戻っていた
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