冷蔵庫/
小川 葉
眠らない夜の
ざわめく都会の駅に
ひとり立ちつくし
冷蔵庫の音しかしない
居間で酒を飲む
冷蔵庫から
食べ残しのつまみを出し
ホテル街へ歩いてゆく
賞味期限切れのつまみは
結婚してよ
と、やぶからぼうに言うので
おれなら無理だぜ
と、こたえると女は笑った
酒もつまみもなくなって
ひとり始発で帰る
冷蔵庫の音しかしない
部屋で眠る
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