僕の母親は縫い物と同じくらいに作り話が上手だった/プテラノドン
 
 かつての持ち主が言ったように―「長い旅になりそうだな。」と、
懐中時計が呟いた。そして歯車は相方を探しに出たっきり戻ってこなかった。
縫い物をする少女の手の中で秒針だけが動き続けた。


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