アブラムシ/水町綜助
 
曇った空に手をかざす

指の上をアブラムシが伝い歩いてる

ちいさな六本の足を動かし

三十何度かのからだ指の上歩く

人差し指の先のほう

小指の付け根

指と指の隙間

すり抜けるからたくさん僕は取り落とす

5月の緑の中を走る電車

町に着くごとに揺れるとき

君は言う

山手線はこのあいだ1日中止まっていたそうだよ

線路の枕木が6センチ(!)も浮かんでいたそうだ

大都会の電車が脱線する想像

見慣れた町並に空から電車が降ってくる

日めくりは毎日事務員によってめくられ

そのたびに一日は丸められて捨てられる

黒い鉄の
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