夜景/大覚アキラ
 
燃え尽きた夕焼けがズルズル剥がれ落ちて
みっともなく海に沈んでいくと
その向こうに広がる暗い空が剥き出しになっていく
すっかり日が落ちてしまうと
書割のような安っぽい星空に
罪深い人たちの胸騒ぎの音が銅鑼のように響く
それに耳を傾けながら
すっかり歳をとってしまった父が
震える手でコップ酒を口に運びながら
近いうちにまた戦争が始まるのかもしれないと
小さな声で呟いた
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