波間に/
朔耶
静かな風の吹く中
揺れる想いは遠く渡り
遥か彼方
白い翼 悠々とはためかせて
消えていった
すべてを投げ捨てた
勇気がなかったんだ
持ち続けることなんて
辛いだけだと うそぶいた自分
波が打ち寄せ
記憶をさらう
砂浜に足跡をつけながら
少しだけ泣いた
夢のような日々が 波の色に染まっていく
誰も気付かず
通り過ぎたあの日
今はもう 海の青に包まれて
押し殺した涙が 青い波に溶けるまで
歩みを止めたりしないから
どうか 風よ
どこまでも 吹き抜けて
戻る
編
削
Point
(3)