「東京」 (地下鉄のホームで)/ベンジャミン
 

下町に生まれてから
高いビルに憧れていた
今になって見上げる景色は
華やいでいるのに
どこか淋しい

地方に引っ越して
久しぶりに来た東京

夜の地下鉄の
長い階段をおりてゆくと
鉄のレールはまるで
過去と未来をつなぐように
真っすぐにのびている

地下鉄の薄暗いホームの上で
僕は今という駅に佇む

どこか懐かしい風に吹かれながら
かすかな記憶を抱いて
明日へと運ばれるのを待っている

「帰る場所がある」
そのことに安心しながら



     
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