うつろい/朔耶
 
流れる雲 風の唸り

空が表情を変えるように

人の心も移りゆく



空をうつろに眺めた僕を

きみは困った顔で笑って

僕の袖を掴んだ

きみの好きな白いシャツ

くしゃりとしわが寄る

僕はきみに目を戻し

きみの笑顔を焼き付けた



きみの手を取った

手のひらから伝わる体温が

僕の心を揺らす



人の心は不変のものではないけれど

どうかきみはそのままでいて

はにかんで笑うきみの笑顔

忘れたくない



人の心は見えるものではないけれど

僕はずっときみを想うよ

きみが幻に変わっても

僕はきっと

ここにいるから
戻る   Point(1)