うつろい/朔耶
流れる雲 風の唸り
空が表情を変えるように
人の心も移りゆく
空をうつろに眺めた僕を
きみは困った顔で笑って
僕の袖を掴んだ
きみの好きな白いシャツ
くしゃりとしわが寄る
僕はきみに目を戻し
きみの笑顔を焼き付けた
きみの手を取った
手のひらから伝わる体温が
僕の心を揺らす
人の心は不変のものではないけれど
どうかきみはそのままでいて
はにかんで笑うきみの笑顔
忘れたくない
人の心は見えるものではないけれど
僕はずっときみを想うよ
きみが幻に変わっても
僕はきっと
ここにいるから
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