What is ?/紀茉莉
がして
いつしかあいさつの号令だけではなく
用具の準備や名簿の整理なんかが増えた場所で
いつも顔をあわせるいまは亡き男の子だけが
優先順位をくれた
痛みだけでつむがれた物語を
わたしがよみ
けれど
ながれるものをなにももっていなかったから
背と
よくわからない羽が
貧血にまつわるすべての不調和音にかき消された
浮かぶ月を
いつしか失われた野良猫とながめた
わずかな灯りも
道で尽き
つきあたる底のウチには
突如おとずれる土星が描かれていた
はるか風が望んだ
誰かに響く声
出すことが出来ないで
丸くしてしまった
一度だけ普通みたいにわらった
イヤリングが
引き出しの奥で眠っていた
言葉みたいに
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