忘れ物/
ぽえむ君
各駅停車しか停まらない
その駅のベンチに
ふと置かれた本が一冊
鞄に入れたつもりが
入らなかったのだろう
風でページがはらはらと
少しだけ浮き上がる
どこか心地よさそう
急行列車が通過して
ページががたがたと
どこかおびえてる
落とし主は
忘れ物に気づいていないかもしれない
気づいたとしてももう来ないだろう
次の本を買ってしまうかもしれない
忘れ物を忘れてしまうかもしれない
誰かの忘れ物を覚えている自分が
ここにいる
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