白昼夢/山中 烏流
黄色のチョークが
規則正しく
ステップを踏む間
私は目をふせて
逃避行を開始する
説明を模したような
子守唄が
耳に語りかけて
私の身体は空へと
浮かび上がっていく
溶けていく
それでも
白い/儚い月が
目の前でお辞儀をしたら
それは帰還の合図
空を駆けおりて
帰らなくては、ならない
目を開くと
いつもと変わらない景色が
私の頬を
ぺちぺちと叩き
現実へと
引き戻してくれる
空に浮かぶ
今にも消えそうな月は
変わらずそこに
あって
またおいで、と
笑っている
ように、見えた。
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