吟遊詩人は詠う/結華
 
吟遊詩人は詠うでしょう

小さなひとつの島国を

四季折々の
顔がある
小さな小さな島国を

吟遊詩人は詠うでしょう

春には
梅の木が香り

桜が咲き乱れ

至る所で生えている
雑草でも

太陽に反射され
生命の息吹を感じさせる
きらめきを

吟遊詩人は詠うでしょう

夏には
強い太陽の光をあびて

きらきら光る河面や海面

緑緑とした木々、草花

これら生命の輝きを

吟遊詩人は詠うでしょう

秋には
紅や黄に染まって

色の祭りが織りなす森林を

生命を育む
大地の暖かさを

吟遊詩人は詠うでしょう

冬には
雪という自然が生み出す
脅威が

大地を閉ざし
生命の息吹を隠し

生命の誕生を
見守っている

脅威と優しさを

吟遊詩人は詠うでしょう

生命の息吹を
感じさせる

小さな小さな島国の

『日本』を








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