誕生/おるふぇ
「僕は生まれた」
その一行で終わった詩があった
誰もその意味を理解できず
無視した
読み流した
そして、
その他大勢の詩の一群として
呑み込まれ
忘却の海に沈んだ
「僕は生まれた」
そう、
「僕は死んだ」んだ
じゃない
「僕は生まれた」んだ
子宮
おお、子宮
大いなる宇宙
神秘と母性の海
総ての始まりを司る
愛情と、孤独の源泉
僕の脳の中に
ミジンコが泳ぐ
狂ったんじゃない
正気なんだ
それは精子と名付けられた
希望が内包された細胞
おお、子宮
泳げるだろうか
死なず潰されず
僕は生まれるだろうか
人生なんて一行の詩に集約
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