さざ波の上の真昼
季節の道を飛ぶ鳥は
大気のつぶやきを浴びながら
虚構の街に舞い降りていく
その日も
空に降りつもる
在りし時のかけらたち
光の中に傾きながら
哀しみを歌うのをやめない
雲が遠い河口を過ぎるときも
雨の背中を流れつづけていた
水の音色の悔恨
回転する銀河の夢のように
思い出しつづける
午後の後ろに隠れた迷路が
蜘蛛の描く闇に招くけど
揺れながらも丘の上の孤独に
とどまっていられるのは
愛された日々が
記憶されているから
細かく震えながら
思いつめた清冽な青
霧雨の夜
面影はいつも
紫陽花のように
訪れる