/静山和生
 

            始まりのない折衝が
            握られた手の中をさまよう

            静けさの折り目が分かれてゆくときの
            小さな軋みを渡り果てるように

            乱雑な羽毛の結び目をほどくために
            落ちてくる音差を
            霙とだけ名指して

            遮光した筆跡はあふれ
            光沢を卦がく二つの選択が
            薄くやわらかく有り余る

            夜の明け一斉に振動する嘴が
        
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