少女A/山中 烏流
 
ゆるすことにつかれてしまった
ひとりのせいめいたいは
とけいのはりをおって
じかんをとめて、しまった
 
はりとはりのあいだで
だれかをまちわびている
そのまま
うずくまっている
 
 
せかいにつかれてしまった
ひとりのせいめいたいは
まぶたをぬいつけて
しかいをとじて、しまった
 
とざされたやみのなかで
なにかをさがしている
ひとりで
もがいている
 
 
あいすごとにいたみをかんじた
ひとりのせいめいたいは
こころをこわして
すべてこわれて、しまった
 
がれきのやまのなかで
ひかりをもとめている
なみだを
のみこんでいる
 
 
こわがって、いる。
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