遺書/Utakata
 
 あいかわらず雨が降り続いているね。あいかわらず、と言ったって君のいる場所で同じように雨が降っているのかは僕には分からないのだけれど。朝の五時の、分厚い雲のせいでまだ真夜中のようにも見えてしまう外の景色を開け放した窓から眺めていると急に君の事を思い出しました。夜明け前の短い時間は人がもっとも孤独になるときだなんて誰かが言っていたけれど、そんなことは今更関係は、ないね。孤独ってどんな感じのものだったのかなんて今はもうあまり思い出せないんだ。君は今、コドク、なんだろうか。もしも君の眼を午前五時の暗闇が包み込んだとしたら、君はその誰かが言ったように孤独さを感じただろうか。
 誰かが。うん、最近の僕は本
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