歌姫2/
暗闇れもん
世間から姿を消した歌姫が夜の番組に現れる
闇に憧れたその姿はどこか蠱惑的で
目があるはずの場所には底知れぬ空虚感が漂っていた
歌うことで救われたはずが
歌うことが苦しさを生むようになったと
何かを諦めたように淡々と画面の口は上下に動く
人ではないものが彼女を動かしている
生きることに疲れたと歌ではなくて言葉で語った
操りの糸が風に揺れている
その糸は彼女自身の指に繋がっているのだ
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